犬鳴村とは?旧犬鳴トンネルへ行ってみた

お出かけ

はじめに

ここを見られている方は映画「犬鳴村」から犬鳴峠に興味を持った方、もしくは心霊スポットが好きで検索して来られた方が多いかと思います。しかし旧犬鳴トンネルは現在は封鎖されて、もう行くことは出来ない場所になっています。

今回は整理をしていて出てきた懐かしい写真とともに、誤解をされている方が多い「犬鳴峠」について書いていきたいと思います。

そもそも犬鳴峠とは

福岡に住んでいる方ならお馴染み「犬鳴峠」険しくて犬でも登ることが出来なくて犬が鳴いたからなど(犬鳴峠の由来)その名前の由来は諸説ありますが近年では心霊スポットと呼ばれることも多い場所です。

場所は福岡市と直方市を結ぶ福岡県道21号福岡直方線が通っている山中にあります。1975年に現在の新犬鳴トンネルが開通する前の旧道内にあったものが旧犬鳴トンネルになります。

地元の人にとっては交通の要所

いつの間にか全国屈指の心霊スポットとして知られてしまった犬鳴峠ですが地元の人にとっては福岡と飯塚を繋ぐ交通の要所となっています。かく言う私もよく使う生活道路です。

心霊スポット=誰も居ない怖い場所、と思って訪れた方はその交通量の多さにビックリするかと思います。現在は近くの八木山バイパスが無料化(以前は有料道路でした)したので以前に比べると交通量は減りましたがそれでも非常に交通量も多い道です。

そもそも、犬鳴峠=心霊スポット=誰も居ない場所ではないのです。

現在は立ち入り禁止です

ここに掲載されている写真は2008年の頃の写真になります。山歩きが趣味だった頃、福岡県内の山や峠を制覇するべく歩いて回った時の写真になります。

現在、犬鳴峠の旧道への道は全て封鎖されており立ち入り禁止になっています。興味や好奇心で法を犯してしまわないよう、在りし日の犬鳴の風景として見て頂ければ幸いです。

また、トンネルがある宮若市ではこちらのような注意勧告もしております

なぜ、心霊スポットになったのか?

この辺はウィキペディアやネットに色々と書かれていますが、1988年12月に監禁殺人、そして焼殺事件の現場となりました。個人的にはこのあたりから心霊スポットとして話題が加速して出始めたのではないかと思います。そしてネットの普及に合わせて色々と尾ひれがついて今の「犬鳴村」伝説が生まれてきました。

因みに「犬鳴」の名前がついた村ですが実際に過去に存在していました。今は犬鳴トンネルの近くにある犬鳴ダム建設の際、湖底に沈んでいますが林業を中心とする普通の村でした。

ウィキペディアにある「犬鳴村」伝説を検証してみます

  • 1)トンネルの前に「白のセダンは迂回してください」という看板が立てられている。
  • 2)日本の行政記録や地図から完全に抹消されている。
  • 3)村の入り口に「この先、日本国憲法は適用しません」という看板がある。
  • 4)江戸時代以前より、激しい差別を受けてきたため、村人は外部との交流を一切拒み、自給自足の生活をしている。近親交配が続いているとされる場合もある。
  • 5)入り口から少し進んだところに広場があり、ボロボロのセダンが置いてある。またその先にある小屋には、骸が山積みにされている。
  • 6)旧道の犬鳴トンネルには柵があり、乗り越えたところに紐と缶の仕掛けが施されていて、引っ掛かると大きな音が鳴り、斧を持った村人が駆けつける。「村人は異常に足が速い」と続く場合もある。
  • 7)全てのメーカーの携帯電話が「圏外」となり使用不能となる。また近くのコンビニエンスストアにある公衆電話は警察に通じない。
  • 8)若いカップルが面白半分で犬鳴村に入り、惨殺された。

1)白のセダンは・・・なんて看板は見たことが無いです。

2)地図から完全に抹消なんて、普通にグーグルマップにも載っています。

3)後述していますがそんな看板は無いです。その元になったものはありましたが・・・

4)差別を受ける理由が分かりません。因みに元々あった犬鳴谷村は1889年に町村制度施行で4村と合併してその名前は無くなり吉川村になり、1955年には若宮町に合併しています。

5)そんな広い場所はどこにもありません。

6)柵と言うかコンクリートブロックの壁が正解です。特段、仕掛けもありません。

7)携帯が圏外・・・95年くらい前でも新犬鳴トンネルではdocomoの携帯は繋がりました。近くのコンビニ(久山町側の山の神のファミリーマート?)でも繋がります。

8)惨殺って言うのは前記の焼殺事件から派生した話かと思います。

犬鳴峠の写真です(過去の写真になります)

では旧犬鳴トンネルの探訪に戻ります。

現在もある新犬鳴トンネルの久山町側から登っていきます。

トンネル向かって右手に旧道への入口があります(現在はバリケードで通行止めです)

現在でもグーグルマップで見ると新犬鳴トンネル入口に右手に旧犬鳴峠の表示がしっかりとあります。その先を見て頂けると分かるかと思いますがヘアピンカーブがありその先も急なカーブが続く険しい山道になっています。

グーグルマップのヘアピンカーブを抜けた所からの写真です。車なら1.、2分の距離ですがかなり勾配があり写真でも急な峠だと分かるかと思います。訪れたのが8月だったので緑が綺麗で眼下を通る沢山の車の音も聞こえず、蝉の声が響き渡る風景は不思議に思えてしまいます。因みに現在は旧道入口はこのカーブの前から完全封鎖されていますのでこの景色を見る事は出来ません。

では、どんどん先に進んでいきます。

峠道は非常に狭く急です。昔はここを路線バスが普通に走っていたそうですがかなり大変だったかと思います。写真左手のガードレールは綺麗でしたが殆どは下の写真奥のガードレールのように完全に錆びてしまっています。時の流れを感じます・・・

車が通ることがなくなって久しいので、あちこちに土砂崩れの跡がありました。因みにこのあたりで野生の鹿に会いました。

そのまま進むと車両進入禁止の小さなゲートがあります。撮影時は真夏だったので鬱蒼と草が生い茂っており、あちこちから水が染み出していて濡れていました。そのお陰か真夏なのに少し涼しい感じがします。下のグーグルマップのポイントがある地点が写真のゲートの分岐になります。

このゲート左手にある看板が「この先、日本国憲法は適用しません」という都市伝説のモデルではないかと個人的には思っています。因みに書いてある言葉は・・・通行止めでした。。。

確かに車が入るには危険すぎます。恐らく管理される自動車が通れる幅ギリギリいっぱいに柱が立っています。

ここでゲートを通過して旧犬鳴トンネルへ行かずに写真右手の方に上っていくとどうなるかというと、細い山道になっておりさらに登ると朽ち果てた小さな小屋がありました。木造の小さな作業小屋でほぼ朽ちており、既に緑に帰る一歩手前でした。グーグルマップで確認すると更に1キロほど下っていくと麓の集落へ行ける道があるようですが、かなり険しく人が通れる道がある感じではありませんでした。

脱線しましたが本題のトンネルへ向かいます。ゲートを抜けてトンネル側に更に進むと・・・

旧犬鳴トンネルです

これが在りし日の旧犬鳴トンネルです。訪れたのは12年ほど前ですが既にコンクリートブロックで入口が塞がれていました。映画「犬鳴村」の予告編などでも同様封鎖された描写があるところを見ると、この感じを再現したのかもしれません(映画ではかなり巨大なトンネルの描写になっていますが実物はかなり小さなトンネルです)

この写真の数年前はコンクリートブロックの壁もなく普通にトンネルを通ることが出来ました。トンネル自体も入口から出口が見えるくらいの非常に短いもので長さは150mほどだったと記憶しています。

個人的にはこの入口が封鎖されて落書きが多数あるほうが誰か人が来た痕跡を感じ、逆に怖くなります。人気のない場所なので幽霊よりも生きている人間の方が怖いです。写真のように左上のブロックが動いていて誰かが中に入った感じもより一層怖さを引き立てます。

気になる封鎖される前のトンネルの内部ですが(写真は残ってませんでした)はお世辞にも綺麗とは言えないコンクリート打ちっぱなしでゴミだらけ、そして山から染み出る大量の水で晴れていても地面には水たまりが多数あって車で通るにはかなり危険な状態でした。

トンネルの入り口にある銘板には旧トンネルの名前「犬鳴隧道」の文字がうっすら見えます。

トンネルを抜けると

そのまま山を下っていくと若宮側に出ることが出来ます。個人的には久山側の方が勾配が厳しく荒れていて険しい道のりでした。

12年以上前ですがこの時でも既に若宮側には大きなゲートがあり不法侵入禁止の看板が設置されていました。久山側から登ってきてもこのゲートがあるので引き返さなければなりません。ゲートがあるので当然この当時でも若宮側からは入ることは出来ませでした。

グーグルマップで見るとこの左手からの道が旧道から若宮に抜ける道になり、新道の分岐になります。

トンネルを越えると

若宮側には犬鳴ダムがあります

前記した犬鳴の名前がある旧犬鳴谷村(いぬなきだにむら)がこのダムの底に沈んでいます。

都市伝説と全く関係の無い村ですが名前に「犬鳴」の名前があるだけで良い迷惑だったと思います。改めて言いますが旧犬鳴トンネルは心霊スポットでもなければ怖い場所でもない自然溢れる良い場所でした。

まとめ

映画にもなって再度「犬鳴村」伝説が話題になりつつなる今、肝試し感覚で行ってみようと思う方が出ないように過去の登山の際に撮影した写真を公開しました。

12年も前の写真ですがこの時には既にはトンネルも道路も自然に還ろうとしていました。個人的には役目を終えたものですのでそのまま自然に還るのが一番だと思っています。福岡市内から30分ほどの距離ですが道中、湧き水があったり野生の鹿に出会うことが出来るような自然に溢れる場所になります。今後もこのままの静かにこの自然が保たれるのを切に願っています。

この投稿を見て行動されても一切の責任を負いかねます。読み物としてお楽しみ下さい。

犬鳴峠を題材にした映画も

この犬鳴峠を題材に映画も撮影されました。下記のリンク先で見ることが出来ます。トンネルの撮影で実際の犬鳴峠で行っていますので動画で見たい方は是非こちらをご覧頂ければと思います

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